とぽろじい ~大人の数学自由研究~

高校数学から分かる新しい数学、大学で学ぶ数学を少しずつまとめていくブログです。ゆくゆくは本にまとめたいと思っています。

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【関数】第1回変な模試~2025問題と2次式~【奇問】

数学の奇問&変わった解法を紹介する新シリーズです。

ちょっと大きな数2025を題材に2次関数・2次方程式・2次不等式といった2次式に関連する問題を作りました。

大学入試の勉強にも役立つと思いますので、ぜひ高校生や受験生の皆さん、もしくは久し振りに数学の問題を解いてみたい大人の皆さんも解いてみてくださいね!

 

問題一覧

一見すると、「よく見る問題」ですが…何かしらの裏があります。

  1. 計算量をいかに減らすか
  2. 場合分けをカットする方法はないか
  3. 関数やそのグラフを効果的に使えないか

このあたりを考えてみてください。

 

解説

※あくまで解き方の一例にすぎません。他の方法がないか是非考えてみてください(そしてコメントで教えてくれたらうれしいです)。

※解答の論述はちゃんと書いていません。

第1問(2次関数の値)の解説

 
 
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標準的な解法では、 f(x)=ax^2+bx+c とおいて与えられた値から a,b,c を求めるものが有名です。

一つ一つの計算を工夫すれば十分早く答えに行きつくことも可能ですが…

 

(略解)

関数 f(x)-xx=2022,2023 で値が 0 となることから

f(x)-x=a(x-2022)(x-2023)

つまり

f(x)=a(x-2022)(x-2023)+x

と書ける。

この等式に x=2024 を代入することで

2025=a\cdot 2\cdot 1 +2024

を得る。

したがって

\displaystyle a=\frac{1}{2}

これより

\displaystyle f(x)=\frac{1}{2}(x-2022)(x-2023)+x 

と分かる。

以上より

\displaystyle f(2025)=\frac{1}{2}\cdot 3 \cdot 2+2025

から

f(2025)=2028 となる。 

 

第2問(2次方程式の解の存在範囲)の解説

 
 
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一般的には"範囲を指定された"2次方程式の実数解の個数は判別式だけで調べることはできないため、面倒な問題と思われがちです。

しかし今回はそんなこともなさそうです。

 

(略解)

与えられた方程式は

 (x-a)^2=x-2025

と書き換えられる。

したがって、この方程式が実数解 \alpha を持つとすると

\alpha -2025=(\alpha -a)^{2}\ge 0

により

\alpha \ge 2025 

を満たす。

つまり実数解をもてばその解は必ず2025以上ということが分かる。

したがって「判別式が0以上」のみを考えればよい。

よって (2a+1)^{2}-4(a^{2}+2025)\ge 0

すなわち \displaystyle a\ge \frac{8099}{4} となる。

 

ちなみにグラフ y=(x-a)^2y=x-2025 の共有点、という視点で見れば今回の解法を視覚的に捉えることも可能です。

(2つのグラフの共有点は y\ge 0 つまり x\ge 2025 の範囲に含まれる)

 

第3問(2次方程式の解と式の値)の解説

 
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展開をするのは大変なので…

(略解)

 (x+2)^2-3(x+2)+3=0

つまり x^2+x+1=0 の解は \alpha -2,\beta -2 である。

このことから \alpha-2,\beta -2 は1の3乗根である。

特に (\alpha -2)^{2025}=(\beta -2)^{2025}=1 であるから

(\alpha -2)^{2025}+(\beta -2)^{2025}=2 となる。

 

\alpha,\beta の値を求めることでも同様の帰結を得ます。

 

第4問(2次方程式の実数解の整数部分)の解説

 
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前半の判別式の計算も面倒ですし、後半も \beta の値を求めるのは避けたい…

そこで関数のグラフを考察することでどちらも解決します。

 

(略解)

f(x)=ax^{2}-(2025a+1)x+1 とおく。

f(2025)=-2024 を満たす。

このことから y=f(x) のグラフは a の値によらず定点 (2025,-2024) を通る

よって、方程式 f(x)=0 は異なる2つの実数解をもつ。

さらに f(2026)=2026(a-1)+1\gt 0 であるから

2025 \lt \beta \lt 2026 を満たす。

したがって \beta の整数部分は 2025 である。

 

f'(2025) の値から定点 (2025,-2024)でのグラフの接線が"急勾配"であることから簡単に後半の結果は予想がつく。

 

第5問(2次不等式の条件)の解説

 
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x^{2}-3ax+2a^{2}\le 0 の解はaの値によって a\le x \le 2a2a\le x \le ax=a(=2a)の3パターンある。 

加えて、関数 f(x)=x^{2}+(a+1)x-2025a の最大値も2種類の場合分けにより求めてしまうと混沌としてしまう…。

そこで場合分けを一切しない方法で攻略する。

 

(略解)

x^{2}-3ax+2a^{2}\le 0 の解がいずれの場合も関数 f(x)=x^{2}+(a+1)x-2025a の最大値はf(a)f(2a) のいずれかになる。 

最大値がどちらでもあろうと f(a)\le 0 かつ f(2a)\le 0 となる a の値の範囲を求めればよい。

したがって

f(a)=2a(a-1012)\le 0

かつ f(2a)=a(6a-2023)\le 0

から 0\le a\le \dfrac{2023}{6} である。

 

第6問(因数分解)の解説

 
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係数が大きすぎて絶望する前にx=1を代入すると…?

 

(略解)

x=1 のとき 2025x^{2}+2287x-4312=0 であるから、与えられた式は x-1 を因数にもつ。

 2025x^{2}+2287x-4312=(x-1)(2025x+4312) 

 

 ※絶望せずにたすき掛けを試みようとするだけでもすぐに解決します。大切なのはあきらめない心?

 

まとめ

今回は高校生の早い段階で学び終える2次関数や数と式の問題の「普通じゃない解法」を紹介ついでに問題を作りました。

シリーズ化して様々なテーマで問題を作ってみようと考えています。

それでは最後までお読みいただき誠にありがとうございました。