問題
問題
を 以上 以下の整数とする。 次関数 について
, , , , を満たすとき
を求めよ。
方針
とおいて与えられた5つの値を代入して…というように"腕力"で解ききっても良いですが、今回はいかに計算量を減らすかという視点に立ちます。*1
そもそも上記の方法は①文字を設定する、②連立方程式を解くという2段構成であるために計算量が多くなります。
そこでまず考えられるのがラグランジュ補間を用いて文字設定を省略して関数を求める方法です。
この方法をとれば
代入するだけで直接的に を求められます。
ただし四則演算レベルとはいえ計算が面倒なことには変わりません。
そこで微分の離散バージョン で表される「差分」を利用します。
が未知関数である以上、差分1回だけではどうしようもありませんが、今回は4次以下ということで高次導関数がいずれ0になることの離散バージョンつまり「複数回差分をとる」ことでいずれ0になることで解決しようと思います。
なお、以前のシリーズで高次の差分についても触れていますのでぜひご参照ください。
解答
次関数 に対して関数 を
とおきます。
すると は 次関数になります。
すると が4次以下であることから
は3次以下
は2次以下
は1次以下
は定数関数
は恒等的に
となります。
また簡単な計算により
が得られます。
(規則性が見えてくるので最後に一般化した結果を掲載します。)
以上より 以下の整数 について 次関数 に対して
が恒等的に成り立ちます。
この等式に を代入すると
を得ます。
これに与えられた条件の値を代入すれば
となります。
(答え)
まとめと一般化
任意の4次以下の関数について成り立つ恒等式という大道具を準備することで一気に値を計算することができました。
なお、この恒等式の係数が2項係数であることから以下のことが言えます。(証明は数学的帰納法で簡単にできるため省略します。)
事実
を 以上の整数とする。
を満たす任意の整数 と任意の実数係数の 次多項式*2 について以下の等式が成り立つ。
( は任意の実数)
すなわち
は についての恒等式である。
ただし は二項係数を表す。*3