とぽろじい ~大人の数学自由研究~

高校数学から分かる新しい数学、大学で学ぶ数学を少しずつまとめていくブログです。ゆくゆくは本にまとめたいと思っています。

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【関数】(単発)n次関数がn+1点で決まる条件「ラグランジュ補間」

 

以前に「多項式の一致の定理」というテーマの中で n+1 点を通る n 次関数(のグラフ)が存在するならば一意であることを示しました。

 

math-topology.hatenablog.com

 今回は、そもそも「任意の  n+1 点に対し、それらの点を通る n 次関数は存在するのか」

 という疑問を解決しようと思います。

(上記の記事の内容を一部含みますので、合わせて読んでいただければ幸いです。)

 

【予備知識】

高校数学(数学Ⅱくらい)の知識があれば大丈夫です。

 

 

ラグランジュ補間

今回利用するのは次の「ラグランジュ補間」と呼ばれるものです。

つまりは「具体的に構成しちゃえ」という考え方です。

 

n自然数とする。

相異なる n+1 個の実数 x_{0},x_{1},x_{2},\dots,x_{n} について、

xy 平面上の n+1 個の点  (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) が与えられたとき、

以下で定まる関数  L_{n}(x) のグラフはこの n+1 個の点を通る。

L_{n}(x)=\displaystyle \sum_{k=0}^{n} y_{k} \left( \prod_{1\le i \le n, i\ne k} \frac{x-x_{i} }{x_{k}-x_{i}} \right)  

(\displaystyle\prod_{1\le i \le n, i\ne k} は総積を与える記号です。総和を与えるΣの積バージョンです。)

 

定義と称しましたが一応主張を含んでいるので証明をしておくべきですが、証明は L_{n}(x)x=x_{0},x_{1},x_{2},\dots,x_{n} を順次代入していくだけですので、省略します。

というよりも、具体例を観察するのが何よりも理解の近道ですので、まずは3点を通る2次関数を考えましょう。

 

n=2のとき

 

(例1) 

3点  (0,1), (1,2) (2,4) に対して「ラグランジュ補間」を与えると以下のようになります。

L_{2}(x)=\displaystyle 1\cdot \frac{(x-1)(x-2)}{(0-1)(0-2)}+2\cdot \frac{(x-0)(x-2)}{(1-0)(1-2)}+4\cdot \frac{(x-0)(x-1)}{(2-0)(2-1)}

右辺を整理する前に上式に  x=0,1,2 を代入してみると「ラグランジュ補間の気持ち」が見えてきます。

つまり、x=0,1,2 を代入したときに「生き残ってほしいところ以外は0になって消えてくれる」わけです。

やや計算が面倒ですが、右辺を整理します。

L_{2}(x)=\displaystyle \frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{2}x+1

これにより、3点を通る2次関数が作れました。

(最初に紹介した多項式の一致の定理により、一意性つまりこれ以外に3点を通る2次関数がないことも分かります。)

 

一般の n に対しても同様だから、これで今回の「任意の  n+1 点に対し、それらの点を通る n 次関数は存在するのか」はポジティブな結果で解決…と言いたいところですが、実はラグランジュ補間で具体的な関数を構成するだけでは解決していません。

 

次数の問題

なぜ解決していないのか考えるため3点の場合の別の例を考えます。

(例2)

3点  (0,1), (1,2) (2,3) に対して「ラグランジュ補間」を与えると以下のようになります。

L_{2}(x)=\displaystyle 1\cdot \frac{(x-1)(x-2)}{(0-1)(0-2)}+2\cdot \frac{(x-0)(x-2)}{(1-0)(1-2)}+3\cdot \frac{(x-0)(x-1)}{(2-0)(2-1)}

この式を整理すると

 L_{2}(x)=x+1

となります。

これでは「任意の3点を通る2次関数がラグランジュ補間で構成できる」は嘘になってしまいます。

そもそも任意の3点というのが無理があります。

2次関数に関しては以下のように視覚的にとらえることが出来ます。

f:id:kfukui-math7:20210108224827p:plain

青の3点を通る1次関数のグラフつまり直線(緑)は存在しますが2次関数のグラフつまり放物線(赤)は描けそうにありません。

描けるなら、直線と放物線のグラフは3点で交わることになり、その観点でもあり得なさそうです。

 

n+1点でn次関数が決定される条件

先ほどの例からも想像がつくかもしれませんが、n+1 個の点から n 次関数が決定される必要十分条件は以下のように与えられます。

 

定理2

n2 以上の自然数とする。

相異なる n+1 個の実数 x_{0},x_{1},x_{2},\dots,x_{n} について、

xy 平面上の n+1 個の点  (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) が与えられたとき、これらの点をすべて通る n 次関数のグラフが存在する必要十分条件はこれらの点をすべて通る  n-1 次以下の関数のグラフが存在しないことである。

 当たり前のように思えるかもしれませんが、念のため証明してみましょう。

(証明)

(⇒)

 (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) をすべて通る n 次関数 f(x) のグラフが存在するとき、さらにこれらの点をすべて通る  n-1 次以下の関数 g(x) が存在すると仮定します。

すると方程式 f(x)-g(x)=0 は相異なる n+1 個の実数解 x_{0},x_{1},x_{2},\dots,x_{n} を持ちますが、n 次方程式 f(x)-g(x)=0 の解は高々 n 個であるため不合理が生じます。*1

ゆえにこのとき、点  (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) をすべて通る  n-1 次以下の関数のグラフは存在しません。

 

(⇐)

 (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) をすべて通る  n-1 次以下の関数のグラフが存在しないとき、定義1により定まる L_{n}(x) はこれらの点を通りますが、 L_{n}(x) が仮定より  n-1 次以下ではないことと構成より n 次以下であることから自動的に  L_{n}(x) の次数は n となります。

 

 (証明終わり)

 

これで n 次関数の決定条件が分かったとはいえ、具体的に数値から計算で出せるわけではありません。

今度はラグランジュ補間の式の形から条件を作りましょう。

 

定理3

n2 以上の自然数とする。

相異なる n+1 個の実数 x_{0},x_{1},x_{2},\dots,x_{n} について、

xy 平面上の n+1 個の点  (x_{0},y_{0}),(x_{1},y_{1}),\dots,(x_{n},y_{n}) が与えられたとき、これらの点をすべて通る n 次関数のグラフが存在する必要十分条件

  \displaystyle \sum_{k=0}^{n}  \frac{ y_{k} }  { \displaystyle\prod_{1\le i \le n, i\ne k} (x_{k}-x_{i})}  \ne 0  

が成り立つことである。*2

証明はラグランジュ補間 L_{n}(x)x^{n+1} の次数が 0 でないようにすればよいだけなので省略します。

 

さいごに

 ラグランジュ補間自体は有名ですが、単なる構成だけではなく定理2や定理3のように存在証明に用いることが出来る道具です。線形代数学との関連もありますので、機会があれば紹介したいなと思います。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

*1:詳細は冒頭で示した「多項式の一致の定理」を参照してください。

*2:分母は差積の形をしています。このことから想像できますが線形代数学的なアプローチも出来たりします。