今回はふと気になった疑問を「不等式で定義される関数」を用いて解決しようと思います。
具体例と問題提起
まず例として200を3で割り続けます。ただし商だけを割り続けます。
すると商には という数が現れます。
次に200を ( は正の整数) で割ります。
こちらも商には という数が現れます。
余りこそ違いますが、それぞれに登場する商は一致します。
このことは一般的に成り立つのでしょうか。
感覚的には当たり前のような気もしますが、今回は床関数(ガウス記号)を用いて厳密に調べてみようと思います。
そこで数列の問題として考えます。
一般化
問題
を正の整数とする。
数列 , ()を以下のように定義する。
ただし実数 に対して は を超えない最大の整数を表すこととする。
,
このとき 0 以上の整数 で常に は成り立つか。
今回は以下の方針でこの問題を解決します。
・「 ならば 」が正しければOK (数学的帰納法)
・「 であること」と「 であること」は同値であることを利用(床関数は不等式で定義される)
それでは以下、解答です。
解答
ある自然数 について が成り立つと仮定します。( は正の整数)
すると となります。
次に より が成り立ちます。(床関数の定義)
これにより
を得ます。
ここで (床関数の定義)から
を得ます。
さらに () と書けたとすると
となるため
が成り立ちます。
以上より
となります。
したがって床関数の定義により、 となります。
(おわり)
まとめ
床関数の定義を駆使することで難なく疑問は解決されました。
ちなみに今回は「3で割った余り」で考えましたが「 で割った余り」というように変えても同じように問題解決ができます。
今回は床関数の使い方の紹介を「疑問解決」という観点で紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。